男性不妊について男性不妊について

男性不妊症の検査

男性不妊症の病院に行くと何をするんですか?

男性不妊の検査の種類

初診時には、問診と診察があり、検査は精液検査、ホルモン採血、尿検査、超音波検査を行います。

採血では、一般検査の他にホルモン検査、必要に応じて抗精子抗体、染色体を調べています。

超音波検査は、精索静脈瘤・精巣腫瘍の有無などを検査します。

精液検査の前の禁欲期間

精子は毎日つくられますが、射精しないと古い精子がたまり、精液全体の質を下げてしまいます。また、禁欲を長く続けると、精子のDNAの損傷率が高くなる傾向があります。禁欲期間は2日〜5日にしましょう。

精液検査は何処でやるべきか

自宅での採精では、時間の経過、温度の変化、紫外線などの影響があります。クリニック内採精で、質の高い精子を診断や治療に使用してほしいです。正確な精液検査、人工授精・体外受精・顕微授精の成績向上につながります。

なお採精室での精液採取が不可能な方は自宅での採取後1時間以内にクリニックに届けて下さい。なお冬場には容器を寒冷にさらされないようにして下さい。

精液検査の基準値

WHO(世界保健機関)2010年の基準値は根拠が高い基準値です。いまだに古い基準値を使っているクリニックがありますので注意してください。精液量1.5ml以上、精子濃度1500万/ml以上、運動率40%以上、正常形態精子率4%以上が正しい基準です。

ホルモン検査

血液検査で、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)を調べます。

FSHとLHは、脳下垂体から、テストステロンは精巣から分泌されます。FSHは、精巣を刺激し精巣で精子を作るよう促し、LHは、精巣内の男性ホルモンを作る細胞を刺激し男性ホルモンの分泌を促します。LH、FSH、テストステロンがすべて低下している場合は、ホルモン不足ですのでホルモン治療が有効です。FSHが高い場合は、精巣での精子を作る機能が低下している状態です。

抗精子抗体検査

男性でも抗精子抗体があると精子の運動率が悪くなります。精巣、精巣上体(副睾丸)、精管など過去に炎症や損傷があった場合に陽性になる場合があり、例外もありますが抗精子抗体が精子の運動性を悪くして自然妊娠が難しくなることがあります。

精子運動率が悪い場合やなかなか妊娠しない場合は、人工授精や体外受精・顕微授精になる場合もあります。本検査は自費となります。

染色体検査(G-Band法)

最も一般的な染色体検査で血液を検査します。染色体異常は男性不妊の原因であり、妊娠の可能性や体外受精・顕微授精などでの判断材料となります。男性不妊1007人に染色体を実施したところ、性染色体異常が38例(3.8%)、常染色体異常が24例(2.4%)、合計62例(6.2%)ありました。精子濃度500万/ml以下、精巣容積8ml以下、FSH(卵胞刺激ホルモン)30.1mIU/ml以上、LH(黄体形成ホルモン)8.9mIU/ml以上などではそれぞれ正常に比べ特に(有意に)染色体異常が多くなります。

Y染色体微小欠失(AZF)検査

血液検査で保険適用外です。AZF領域微小欠失検査結果でAZFa欠失、AZFb欠失、AZFb+c欠失、Y染色体長腕欠失などでは、MicroTESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)を行っても精子を回収できないことが分かっているので、術前にこの検査を行えば無駄な手術を回避できます。

一方、AZFc欠失では、精子を回収できる可能性 あるのでMicroTESEを行うことが多いです。しかし、男児が生まれるとAZFc欠失は遺伝します。ただし、その男児が将来不妊症になるかは不明です。